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ドイツへの道　資料編（２）　ゲーテ街道

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ドイツのみならずヨーロッパの金融の中心地フランクフルトから、旧東ドイツの商業の中心地ライプツィヒまでの約４００キロの道のりは、今日ゲーテ街道と呼ばれています。その名の通り、フランクフルトに生まれてライプツィヒに学び、ヴァイマルで宰相まで務めたヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ（１７４９～１８３２）とは切っても切れない関係にあります。

この街道はまた、アイスレーベンに生まれ同地に没したマルティン・ルター（１４８３～１５４６）や、アイゼナッハに生まれライプツィヒに没した我らがヨハン・ゼバスティアン・バッハ（１６８５～１７５０）などドイツ精神を代表する偉人たちとも深い関わりがあり、この他にも文化都市ヴァイマルで活躍したルーカス・クラーナッハ、フェリックス・メンデルスゾーン、フランツ・リスト、フリードリッヒ・シラーといった芸術家や、イェナ大学で教鞭をとったヘーゲル、フィヒテ、ショーペンハウエルなどの哲学の巨人もおり、名前を挙げていくだけでも畏れ多いところです。
しかし、何も難しいことを考えながら旅をしなければならないわけでもありません。中世からの歴史のある街が多いので、それだけでも充分楽しむことができるでしょう。

この街道の大半は旧東独側にあり再統一まであまり整備されていなかったようですが、国境が無くなり通しで訪れることができるようになってにわかに人気が高まり、１９９９年（ゲーテ生誕２５０年）にヴァイマルがヨーロッパ文化首都に選定されたり、２０００年にはバッハ没後２５０年を迎えたりなどのイベントに恵まれ、急速に修復・整備が進んでいます。（そのため妙に建物が新しかったりしますが）
私達が旅する２００６年にはドレスデンの建都８００年を迎え、こちらもいろいろイベントが企画されているようです。
ここに上げた本も、このような事情からほとんどが１９９８～９９年に刊行されています。

「ゲーテ街道の旅」阿部孝嗣　編著双葉社　１９９９年	ゲーテの生涯を追いながら見所の街を紹介していくスタイルで、一般のガイドブックにはまず載っていない途中の小さな街もいくつか組み込んであります。ゲーテやバッハなどについても、まんべんなく取り上げてありますが、文章量の制限からあまり深くつっこむことができなかったのは仕方ないところ。この本を卒業した後はそれぞれの興味に従ってより専門的な本をひもとくと良いでしょう。ちょっと踏み込んだ、テーマのある旅のガイドとして好適。写真は多いですが、この本の取材中はあまり天気が良くなかったようです。
「ドイツ　ゲーテ街道を歩く」藤代幸一トラベルジャーナル　１９９８年	「見る」「食べる」「歩く」「読む」の４つの章立てでゲーテ街道の見所を紹介していくエッセイ風の読み物。街の紹介というよりは旅行記になっています。ロマンティック街道などと比べればまだまだ訪れる人が少ないこの地域の様子を伝えてくれます。写真は少なく、読んで楽しむ本でしょう。
「ゲーテ街道を行く」小塩節　津田孝二新潮社とんぼの本　１９９９年	こちらもゲーテの生涯と絡ませながら、フランクフルトからライプツィヒまでを紹介していく本です。写真はこの本が一番きれいでした。著者は駐西独公使も務めた独文学者で、興味の対象はやはりゲーテが中心です。ライプツィヒはゲーテの生涯においてはあまり大きな意味を持っていないので、記述が大変あっさりしているのはバッハ好きには不満なところ。さすがに文章は面白く、体験談も含めて大変興味深く読めます。ゲーテをターゲットにするならばこちらがおすすめ。
「詩と真実」　全４巻ゲーテ（著）　山崎章甫（訳）岩波文庫　１９９７年「ゲーテとの対話」　全３巻エッカーマン（著）　山下肇（訳）岩波文庫　１９６８年	＜番外編１＞ゲーテの生涯に関する古典をご紹介します。それぞれ分量が多く若干読みにくいですが、やはり本物に触れておくのも良いものです。ゲーテ街道を訪れる前にはどれか一つでも読んでみてはいかがでしょう。『詩と真実』フランクフルトの少年時代からヴァイマルに大臣として着任するまでの若き日々を６０歳を過ぎたゲーテが振り返ってまとめた自叙伝。原著の出版は１８３３年。『ゲーテとの対話』ヴァイマルのゲーテハウスにて交わされた晩年のゲーテとの会話を、ゲーテの秘書を務めたヨハン・ペーター・エッカーマンが日記風にまとめたもの。原著の出版は１８３６年。
「ドレスデン逍遙」川口マーン惠美草思社　２００５年	＜番外編２＞アウグスト強王とその取り巻きの話や、ゼンパーとヴェ－バーの話、悪名高いドレスデン空爆と聖母教会の再建の話など、ドレスデンにまつわる興味深いエピソードが並んでいます。ゲーテ街道の街ではありませんが、今回オプションで訪問しますのでご紹介しましょう。

（２００６．４．３０）

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