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ものすごいハイペースで録音されたBrilliantの全集(12巻60枚組)です。録音時期を見ていくと、1999年から2000年にかけて一気に200曲まとめて収録されているようで、まさにバッハの最繁忙期を追体験するような忙しさだったのではないかと思います。 他レーベルからの借り物(買い取り)音源が多いBrilliantの中で、このシリーズは珍しく自前の録音です。演奏スタイルとしてはオリジナル楽器を使った小編成のアンサンブルで、私の好みに近いと言えます。全体的に速めのテンポと軽めのアーティキュレーションで、ビブラートを抑えた透明な響きを出しています。合唱は人数が少ないためか時々地声がきこえてくるものの、他のオリジナル楽器系合唱団と較べてテノールがやや厚めで面白い響きを聴かせてくれます。 演奏の質から言えば、ちょっと素人くさいところもありますが、時たま素晴らしい当たりに出会うこともあります。超特急で録音されたせいもあってか、全体の印象としては「悪くないけど、ばらつきが大きい、むらがある」という感じです。気をつけて聞いていくとソリストがJesuを「ジェーズ」と発音したり、ちょっと疑問に思えるところもあります。細かいところの楽譜の読み込みなどはBCJ盤に一歩も二歩も譲る印象がありますが、勢いに乗ったときの霊感あふれる演奏はライブを聴いているような緊張感があります。管楽器はBCJ盤やコープマン盤に較べると今一つの感があるものの、やはり時々巡り会う名演奏は捨てがたい魅力があります。 いずれにしても、現時点で完結しているオリジナル楽器による全曲版として貴重なものです。 値段が激安(最初は1セット5枚で2000円かそれ以下で60枚全部を揃えても2万円ちょっとという感じでした。最近はさらにコンパクトな箱に入ってもっと安く出ているようです)ということもあり、カンタータを手早く揃えたいという人、あるいは手軽に何曲か聴いてみたいという人には充分お勧めできる内容と思います。「この値段ならば」と思って買ってカンタータを聴いてくれる人が増えるとうれしいですね。 この全集は、何の順番で曲が並べられているのかよくわかりません。教会暦順とか初演年代順とか番号順になっていれば聴きたい曲にすぐたどり着けるのですが、何の基準で振り分けられているかわからないため、どの巻のどのトラックにどの曲が入っているかすぐには見当がつきません。目指す曲を探し出すには、ジャケットを全部見ていくか曲目の一覧表を作らなければなりません。 指揮者のPieter Jan Leusinkはオランダ人のようですが、日本語でどう表記するかはいまだに定説がないようです。明治学院バッハ・アカデミーのオルガニストでオランダに留学されていた長谷川先生に伺ったところ、カタカナで書くにはやはり難しい発音とのことでした。姓の最初の母音がポイントで、「う〜ん、あえてカタカナで書くならラウシンクとかレウシンクとか・・・」と言われていました。向こうには多い名字だそうです。ウの音ははっきり入るそうなので、私としては「レウシンク」と書くことにしました。 |
最終更新 2007.2.11 |
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