ルートヴィヒスブルク Ludwigsburg ■バッハハウス■　旅の部屋　ドイツの小さな街

ルートヴィヒスブルク

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シュトゥットガルトからＳバーンで２０分ほどのルートヴィヒスブルクには、街に不釣り合いなほどの巨大な宮殿が建っています。この街の歴史はそれほど古いものでなく、ほとんどの建物が１８世紀バロックの様式で建てられています。

市教会の向かい、広場の東側にあるカトリック教会。

１７世紀の終わりに、ヴュルテンベルクの領主エーベルハルト・ルートヴィヒ伯爵の狩猟の館が火事で焼け落ち、１７０４年から再建がはじまりますが、その後伯は構想を拡大して宮殿を中心に街を作ることにし、１７０９年から建設費を援助したり税金を優遇する制度を作ったり職業や宗教の自由を保障したりして住民を呼び寄せました。
街のはじまりは中心にあるマルクト広場で、バロック様式のカトリック教会（写真右）と市教会（写真左）が広場の東西の端に向き合って建てられました。１７１８年には伯爵家の拠点が建設中の宮殿に移ってきて、街はますます勢いづきます。

中庭から見る、アルテ・ハウプトバウ（旧本館）

宮殿は４５０以上の部屋を持つ当時のドイツでも最大級のもので、ドイツのヴェルサイユとも呼ばれ、最盛期にはここで１８００人もの人々が働いていました。宮殿は伯の死の年である１７３３年になってやっと完成します。
街の名前も宮殿の名前も、もちろん伯爵の名前から取られたものです。
ノイエ・ハウプトバウ（新本館）の入口。ガイドツアーの出発点。

ところが、跡を継いだ次の領主がまたシュトゥットガルトに遷都してしまったため街は一旦はさびれかけますが、１７４４年に１６歳で跡を継いだその次の領主カール・オイゲン伯は、１７６４年にルートヴィヒスブルクを再び首都として政治の中心に引き戻しました。
伯はシュトゥットガルトで新宮殿を造営しながら、ここルートヴィヒスブルクでも磁器工場の開設（１７５８年）や演劇の奨励など文化事業にも力を入れ、街はいちばん華やかな時代を迎えます。この頃、ルートヴィヒスブルクはバロック文化の中心としてパリやヴィーンと並ぶ名声を博していました。

しかし１７７５年以降ヴュルテンベルクの首都はシュトゥットガルトに戻り、ルートヴィヒスブルクは首都守備隊の基地となってかつての華やかさは失われました。オイゲン伯の次のフリードリッヒ２世の治世にナポレオンによってヴュルテンベルク王国が設立され、ルートヴィヒスブルク宮殿はナポレオンの宿泊所にもなりました。その時にナポレオンから送られた宝物が今でも大切に保管されています。

宮殿内の玉座の間。

現在、この街は夏の間に行われるルートヴィヒスブルク城音楽祭の舞台となり、また有名なクリスマスマーケットも開かれ、日本での知名度こそシュトゥットガルトに及ばないもののいつもたくさんの観光客で賑わう街となっています。

（１９９８年８月）

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